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ITパスポート試験とは?難易度や試験日、取得するメリットを解説

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公開日:2025.05.01 / 更新日:2025.05.14

ITパスポート試験は新たなキャリアチャンスへの第一歩です。この記事では、試験内容や効果的な学習法、試験日程や申し込み方法を解説します。

資格取得は就職・転職活動を有利に進めるための強力な武器となり、DX推進の時代におけるキャリアアップを後押してくれます。近年、ニーズが高まっているITパスポート試験についての理解を深め、試験対策をスムーズに進めましょう。

ITパスポート試験とは?

ITパスポート試験とは、情報処理技術者試験の一部で、ITの基礎知識を問う国家試験です。ビジネス、技術、セキュリティをカバーし、IT初心者やビジネスパーソンに必要な知識が得られる資格として、業界や職種を問わず注目されています。

実施機関は?

ITパスポート試験は、情報処理推進機構(IPA)によって実施されており、その目的は、情報技術の基礎知識を広く普及させ、情報社会の発展に寄与することとされています。

ITパスポート試験の概要

ITパスポート試験の実施日

全国の会場で随時実施されています。3つの時間帯(午前・午後・夕方)が設定されています。

ITパスポート試験の会場

ITパスポート試験は、全国47都道府県で受験可能です。一部の試験会場では、車いすで受験できます。

ITパスポート試験の受験料

ITパスポート試験の受験料(受験手数料)は、7,500円です。(消費税込み)

試験時間

試験時間は120分です。遅刻による入室制限はありません。解答を終えた場合、試験終了時刻前に退出可能です。

試験方式

ITパスポート試験は、コンピュータを使用したCBT(Computer Based Testing)形式で行われ、受験者は試験会場でコンピュータを用いて解答を入力します。

出題形式

ITパスポート試験は、全問が選択式問題で構成されています。四つの選択肢の中から、問題に対して最も適切な答えを選びます。出題数は100問で、全体を通して幅広いIT知識を問われます。

出題分野

ITパスポート試験の問題は以下の3つの分野から出題されます。

  • ストラテジ系(経営全般)から35問程度
  • マネジメント系(IT管理)から20問程度
  • テクノロジ系(IT技術)から45問程度

採点方式

解答結果から、IRT(Item Response Theory)に基づいた評価点が算出されます。

合格基準

ITパスポート試験の合格基準は、総合評価点1,000点のうち600点以上、かつ、分野別の評価点がそれぞれ300点以上とされています。

ITパスポート試験は難しい?

ITパスポート試験の難易度

ITパスポート試験は、合格率が50%前後であることから見ても、情報技術の基礎を理解している初学者にとっては比較的易しいとされています。情報処理推進機構(IPA)が実施する国家試験の中には、合格率が10%~20%程度のものもあり、IT系の資格を取りたい方の最初の一歩としておすすめの試験といえるでしょう。

ITパスポート試験の合格率

前述のとおり、ITパスポート試験の合格率は、受験者全体で平均すると50%前後です。令和7年2月度の試験結果では、社会人の合格率が50.8%に対して、学生の合格率は43.7%でした。

ITパスポート試験の出題範囲にはビジネスに関する知識も含まれることから、実務経験のある社会人の方が合格率が高いと考えられています。学生の方にとっては、ビジネス分野の学習に注力することで合格へ近づき、就職にも役立つ資格と言えるでしょう。

受験者の傾向

受験者の構成比は、社会人が77.6%、学生が22.4%です。社会人の内訳は、IT系が14.4%、非IT系が85.6%となっています。学生の内訳は、大学生が62.9%と最も高く、次いで高校生が17.8%、専門学校生が9.8%です。

非IT系の社会人の比率が高い理由としては、様々な業種や職種の方が、IT系の知識を深めるための第一歩としてITパスポート試験を選ぶ方が多いからと考えられます。

参考:ITパスポート試験 試験結果

ITパスポート試験の対象と必要な知識

ITパスポート試験の対象者

ITパスポート試験は、情報技術に関する基礎知識を身につけたいと考えている幅広い層を対象としています。特に、IT分野に興味を持ち始めた学生や、新入社員としてこれからビジネスの現場で活躍しようとしている人々、ITリテラシーを向上させたいと考えている社会人におすすめです。

技術職に限らず、営業や企画、管理職など、ITを活用した業務効率化やリスク管理を行う必要があるあらゆる職種の方々にとって、メリットのある試験です。また、企業側も社員のITスキル向上を図るための研修や教育の一環として、この試験の受験を推奨することが増えています。

ITパスポート試験の問題

ストラテジ系

ITパスポート試験のストラテジ系分野では、情報処理技術を活用するための戦略的思考が求められます。この分野では、次のような問題が出題されます。

  1. 経営戦略
    例えば、企業がどのように強みや弱みを分析して、機会や脅威に対応するかを考えるSWOT分析の問題が出題されます。また、マーケティングの基本である4P(製品、価格、場所、プロモーション)についての理解を問う問題も含まれます。
  2. プロジェクトマネジメント
    プロジェクトを成功に導くための計画や管理方法についての問題が出ます。例えば、プロジェクトの進行状況を把握するための方法や、リスクをどのように管理するかといった問題です。
  3. ITガバナンスとコーポレートガバナンス
    企業がITをどのように管理し、経営に活用するかについての問題が出題されます。情報システムが企業全体に与える影響や、その導入・運用に関する理解が求められます。

マネジメント系

マネジメント系では、ITパスポート試験でプロジェクト管理やリスク管理、財務管理の基礎が出題されます。

  1. プロジェクトマネジメント
    プロジェクトを計画し、実行し、監視し、完了させるまでの一連の流れを管理する方法について出題されます。例えば、プロジェクトがどれくらい進んでいるかをチェックしたり、何か問題が起こったときにどう対応するかが問われます。
  2. サービスマネジメント
    ITサービスを提供し、その品質を管理するための仕組みについての知識が問われます。たとえば、ITILというフレームワークを使って、サービスがどのように始まり、変わり、終了するかを管理する方法が含まれます。
  3. システム監査
    情報システムが正しく動いているか、リスクがないかを評価するための基本知識が問われます。会社のシステムに問題がないかをチェックするための方法や、内部のルールが守られているかを確認する手法について出題されます。

テクノロジ系

ITパスポート試験のテクノロジ系分野は、ITの基礎知識を問う内容で、ハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク、セキュリティなどの理解を測ります。この分野では、以下のような基本的な知識が問われます。

  1. 情報システム
    コンピュータのハードウェア(物理的な機械部分)とソフトウェア(プログラムやアプリケーション)の役割について出題されます。コンピュータがどのように動作し、どのように使われているのかなどの知識が必要です。
  2. ネットワーク
    インターネットがどのように機能しているのか、基本的な通信の仕組みについての問題です。例えば、私たちが日常的に使うWi-Fiがどのように情報を送受信しているのか、またどのように安全にネットワークを利用するかについて出題されます。
  3. データベース
    企業などで扱われる大量のデータを効率よく管理し、必要な情報をすぐに取り出せるように、データを扱うための基本的な操作や、データベース管理システムの使い方などが問われます。
  4. セキュリティ
    インターネットを安全に使うための知識について、例えば、パスワードの管理方法や、インターネット上の危険から自分を守るための方法などが出題されます。
  5. プログラミング
    コンピュータに指示を出すための基本的な方法が出題されます。プログラミング言語の基礎や、簡単なプログラムを書くための考え方に関する知識が問われます。

ITパスポート試験の対策と効果的な学習法

試験の出題分野が把握できたら、知識が不足している部分や苦手な分野を中心に学習しましょう。情報技術、経営、法務の各分野における基本的な知識を網羅することが求められるため、参考書やオンラインリソースを活用して、体系的な理解を深めることが大切です。

参考書で学ぶ

ITパスポート試験の合格には、情報技術の基礎知識が必要です。基礎から学びたいなら用語集やテキスト・解説書を、実践力を高めたいなら問題集を活用しましょう。ノート作成や過去問の繰り返しで理解を深め、出題傾向を把握することが大切です。

継続的な学習と計画的なスケジュール管理が成功の鍵となります。毎日学習時間を確保し、効率的に進めることで、キャリアアップの第一歩としての合格を目指しましょう。

過去問を解く

過去問を解くことは、試験の形式や難易度を把握し、実際の試験に備えるための最も効果的な方法の一つです。テキストやサイトの過去問演習を通じて、問題の出題傾向や頻出テーマを確認し、自分の理解度を測定しましょう。

また、解答の解説をしっかりと読み込み、間違えた問題の理解を深めることが、知識の定着に繋がります。

ITパスポート試験対策講座に通う

資格試験対策講座は、特に初学者や独学に不安を感じる方にとって有効です。ITパスポート試験対策講座では、試験範囲を網羅したカリキュラムが組まれており、体系的かつ効率的に知識を習得することができます。また、実際の試験問題に近い模擬試験を実施し、受験者の弱点を分析しサポートしてくれる講座もあります。

定期的な進捗確認や質問対応を通じて学習ペースを維持しやすく、モチベーションの低下を防ぐことができる点は、独学にはない利点と言えるでしょう。講座を通じて得られるのは知識だけでなく、試験に向けた自信や本番での実践力も大きなメリットです。講座の費用や期間、提供されるサポート内容を比較し、ご自身に合う講座を選びましょう。

ITパスポート試験の支援制度

教育訓練給付金(一般教養訓練)

厚生労働大臣の指定を受けた教育訓練を受講・終了した場合、一定の受給要件を満たす方に費用の一部が支給される制度です。一般教養訓練については、受講費用の20%(上限10万円)が支給されます。

自治体や教育機関による支援

学生や在職者のスキルアップ、求職者に対して費用負担を軽減する取り組みが行われています。ITパスポート試験を受験する住民や企業に対して自治体が支援する制度や、教育機関による補助制度があります。受験料の補助の他に、学費の一部が免除されたり、資格取得手当が支給されるケースもあります。

企業からの補助金・手当

企業による資格取得奨励金やキャリアアップ支援も注目すべき点です。ITパスポート試験合格者に対して報奨金を支給したり、昇進の条件としてこの資格を掲げたりする企業が増えています。これにより、従業員のモチベーションが向上し、組織全体のITリテラシー向上に寄与しています。

このように、多岐にわたる支援制度は、個人のキャリア形成を後押しし、社会全体のITスキル向上に貢献しています。受験を考えている方は、これらの制度を活用し、効率的に試験準備を進めることが大切です。

ITパスポート取得のメリット

基本的な知識を習得できる

繰り返し解説している通り、ITパスポートは、情報技術の基礎を学ぶための最初のステップとして最適です。

上位資格へのステップアップ

ITパスポートの学習で基礎を固めた後に、より高度なスキルを目指して上位資格を目指すことも可能です。

就職・転職活動で有利

ITパスポート取得によって、ITに関する基礎知識を持っていることを証明でき、就職や転職時にアピールポイントになります。

業務効率が向上

ITの基礎知識があることで、業務でのITツールの活用がスムーズになり、生産性が向上します。

資格手当や補助がある場合も

先述の通り、企業や教育機関などから、ITパスポート取得者に対して様々な支援が行われています。

自己啓発のモチベーションアップ

資格取得を目指すことで、継続的な学習意欲が高まります。ITやビジネスに関する知識の証明になるITパスポートは、社内評価の向上につながります。

幅広い分野に対応

ITのみならず、経営やマネジメントの基礎知識も学べるため、多様なビジネスシーンで役立ちます。

DX推進と今後のキャリアアップ

デジタルトランスフォーメーション(DX)が企業の成長戦略としてますます重要視される中、ITパスポート試験の取得はキャリアアップにおいて大きなメリットをもたらします。DXの推進には、ITに関する基礎知識が不可欠であり、ITパスポート試験はその基盤を築くための有効な手段です。

国家試験であるITパスポートの資格を持つことで、デジタル技術を活用した業務改善や新規プロジェクトの立ち上げに積極的に関与できる可能性が広がります。特に、非IT系職種の方にとっても、ITパスポート試験で得られる知識は、業務のデジタル化やプロセス改善に役立ち、社内での評価を高めることが期待できます。

さらに、DXの推進が進む企業では、ITに精通した人材の需要が増しており、ITパスポートを持つことは、その一歩を踏み出すための強力な資格となります。ITパスポート試験を通じて得られる知識と自信は、今後のキャリアを大きく前進させるカギとなるでしょう。

おわりに

様々な業種でのキャリアアップや、就職・転職に有利とされるITパスポート試験。国家試験の中では難易度が高すぎず、比較的取得しやすいといわれる試験ですが、合格には計画的な学習が必要です。独学での学習が不安な方は、ITパスポート試験対策講座の受講を検討しましょう。


公開日:2025.05.01 / 更新日:2025.05.14

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